心霊写真の真相C
世界中で目撃されている幽霊
幽霊の特徴
彼らは「浄天眼」という眼の通力を持っているので、人間界ならばどこでも見える。自分の葬式の一部始終を見ることもできるし、家族や友人が海外旅行に出かけて楽しんでいる様子も手にとるように見える。何万キロ離れた遠距離の風景も、密室での秘め事も、その場にいるがごとくにはっきり見えるのである。
また彼らは、中有界の不安定な境界を嫌っている為に、その便利な浄天眼を使って、次に生まれる機会を必死になって探している。人間に生まれる者は夫婦交合の機会を狙う。夫婦が夜の仕事を始めようとする時、多くの幽霊達がそこに集まってきて、我勝ちに、受精の一刹那、女の胎内に宿らんとするのである。その光景は丁度、一匹の雌鮭の回りに沢山の雄鮭が我勝ちに集まって、次世代の生命を宿さんと刹那の産卵を必死で狙っているようなものである。もちろんこのような騒々しい状態は、幽霊の心身が微細な為、夫婦の目に映ることはない。しかし実際には、知らぬは夫婦ばかりなりで、どの秘め事の場も血走った亡霊達の狂騒騒乱の場と化しているのである。
彼らはまた、しきりに香りを求める。彼らの食べ物が香りであるからだ。悪業を積んだ者は悪香を求めて喜び、善業を積んだ者は妙香を求めるというから、多分前者は馬糞や牛糞の臭いを極上と思って食べ、後者は伽羅や栴檀の香りを食しているのだろう。
引用元
「死後の存在」
著者: 中根繁
発行所: 真流一の会
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