心霊写真の真相B
活発になされている超心理学の研究
唯物論的偏見
第2の感情的な反発とは、主に唯物論的偏見から起きてくるものである。古代から人間の思想には大きく分けて2つの流れがある。いわゆる唯心論と唯物論である。
唯心論とは、万物は心から生まれるという説で、近代ではドイツの哲学者・ヘーゲルがこれを唱えた。唯物論とは、万物は物質から生まれるという説で、近代ではドイツの生理学者・ビュヒナーらがこれを唱え、思想界に多大な影響を与えた。西洋で発達した科学は、当然のごとく唯物論を支持し、それを根底に置いた。物質は実験、観察できるが、目に見えない心は実験、観察の対象にならないと考えたからである。明治以降、「脱亜入欧」政策で、西洋の科学を積極的に取り入れた日本の科学界もまた、当然のごとく唯物論を支持し、それを根底に置いた。
従って、唯物論の立場から見てありうるはずもない幽霊とか心霊写真といった超心理現象を一部の科学者が問題にすると、洋の東西を問わず大多数の科学者達が嫌悪感を抱き、時にはヒステリックなまでに反発するのである。エネルギー保存の法則の主唱者として有名なドイツの世界的物理学者・ヘルムホルツもそんな一人であった。彼は超心理現象に対し、にべも無く、「たとえ英国王立協会員のすべてが超心理現象を認める宣誓供述書に署名し、自分自身が実際に体で超心理現象を体験したとしても、私は現象を信じない」と断言している。
この狂信的なまでの感情的な発言は、超心理現象などありうるはずがないという彼の思想、すなわち唯物論的偏見から出てきているのである。超心理現象に対する科学者達の感情的な反発はこの程度のものだが、笑えないのは、この程度のものであっても影響力があるということである。特にヘルムホルツのような有名な科学者が反発し、発言すれば、他の科学者や一般大衆に超心理現象への偏見を強く植え付けることになり、超心理学の研究、発展を妨げることになるのである。
引用元
「死後の存在」
著者: 中根繁
発行所: 真流一の会
p112〜p123
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